映画字幕翻訳者の戸田奈津子さんの作文を読んでのコメント
今年もすばらしい皆さんがたの作文を読ませていただきました。
選ばれた映画はいろいろですが、全ての作文が、映画のキャラクターに自分をダブらせ、「私もそうしよう」、あるいは「そういうことをしてはいけない」と自覚したという内容でした。それが映画の素晴らしさです。親や先生から「こうしなさい、ああしなさい。」と言われるのと違って、映画は物語やキャラクターに自分自身が共感し、「本当にそうしよう。」と心の底からそう思い、一生、頭にこびりつくのです。
映画は「人の立場になって、ものを考えること」と教えてくれます。自分がいじめられる立場になった場合を想像すれば、人をいじめようという気持ちは絶対に生まれないはずです。あらゆる人が、そうやって他人の気持ちを思いやるようになれば、この世の中はもっと、もっと幸せなところになるでしょう。
本を読むことも映画と同じで、人間に必要な「心の持ち方」を教えてくれます。スマホやゲームは確かに便利で、楽しいものかもしれませんが、「人間はこうあるべき」という基本的なことは教えてくれません。スマホをいじる時間を少しでいいから減らして、本を読む、映画をみる、時間を作ってください。そうすれば来年、また皆さんからの素晴らしい作文に出会えるはず。それを楽しみにしています。